日本国内のビットコイン取引所が相次いで海外進出を発表しています。
各ビットコイン取引所の海外進出状況(2017/12 現在)
QUOINE | 2018年、フィリピンで取引開始予定。
カナダの企業へシステム提供。 |
ビットポイントジャパン | 2017年7月 香港進出。
2017年9月 ランドスター(台湾)との合弁会社設立。 2017年11月 韓国進出。 |
ビットフライヤー | 2017年11月 アメリカ進出。
2018年、欧州でサービス開始予定。(ルクセンブルク) |
ビットバンク | アジア・アフリカなどの企業へシステム提供を検討。 |
SBIホールディングス | 中国 Huobi(フオビー)と資本提携。 |
取引所が相次いで海外進出する目的は「取引量を増やし、流動性を高めること」です。
日本でのビットコイン取引所は「約20社」あり(2017年12現在)、取引所乱立による「取引の拡散」が問題視されています。
取引が拡散してしまうと、「売買取引」が成立するまで時間がかかってしまうため、急な価格の下落が起こったときに「売れないリスク」が高まるのです。
そのため、各ビットコイン取引所は、国内のユーザーを取り合うのではなく、海外へ進出して「市場を拡大する」という方向に舵を切っているようです。
海外進出で「手数料競争」からの脱却
- 日本国内のビットコイン取引所では、取引手数料の価格競争が激しい
- 現物売買では手数料がマイナスのところもある
「ビットコイン取引所」はユーザーがビットコイン(仮想通貨)を売買して、その手数料を受け取ることで利益を出し、運営しています。
取引所が乱立する中、ユーザーを確保するために、各社手数料の値下げ競争が激しくなっていて、現物取引では「マイナス手数料」(つまり逆にユーザーにお金を払っている状態)にまでなっている状態です。
(2017年12月現在、「Zaif」での現物取引の手数料は「売り注文」で-0.05%、「買い注文」で-0.01%)
海外でのユーザーを増やすことで、この手数料競争から脱却し、経営を安定させようとしているのです。
「海外送金」の需要も狙う
- メガバンクの海外送金だとネット経由でも2〜3000円程かかる
- ビットコインだと海外送金の手数料が安い
現在、銀行の海外送金は「SWIFT」というシステムが使われています。
しかし、このシステムは「管理」や「セキュリティ」に莫大なコストが掛かってしまうため、手数料も割高です。
海外への出稼ぎ労働者たちは、自分の国にお金を送金するのに、毎回数千円の手数料を支払っているのです。
それに比べ、ブロックチェーンの技術を使った「仮想通貨」での送金は、コストがほとんど掛かからないため、手数料が安く済みます。
(現在、日本のビットコイン取引所「bitflyer」だと金額に送金額にかかわらず「0.0004BTC」(約800円)で送金することができます。)(2017年12月現在。)
そのため、各国の金融機関も「手数料」を安くするため、ブロックチェーンの技術を使った送金システムを開発したり、独自の仮想通貨を発行の検討をしています。
そんな動きに先手を打つため、ビットコイン取引所が海外へ進出し「海外送金」の需要を取り込もうというのです。
まだ銀行間での新しい「海外送金の仕組み」が確立していないあいだに、どれだけユーザーを取り込めるかが鍵となりそうです。
まとめ
海外送金のために「ビットコイン」やその他の「仮想通貨」が使われることになると、流動性が上がり、「価格が上がる」ことが期待されるでしょう。
「ビットコイン」や「その他の仮想通貨」は今、新しい金融の形としての「過渡期の真っ只中」にあります。
次々に出てくる「Fintech」のサービスが最後まで生き残るためには、最初に「どれだけ多くユーザーを獲得できるか」に掛かっているといえそうです。